2-4 SSD システムのバックアップ
学習目標
本章では、NVIDIA Jetson プラットフォームにおける システムバックアップ手順(特に Pandora の NVMe SSD)を習得します。完了後、以下ができるようになります。
1. システムバックアップの原理と重要性を理解し、データ保護と復旧性を確保できる。
2. dd を用いて Pandora の NVMe SSD を USB ストレージまたは第 2 SSD へバックアップできる。
3. ディスクのマウント、(任意の)圧縮、基本的な検証を実施できる。
4. よくあるミス(デバイス指定ミス、容量不足など)を回避・切り分けできる。
5. 将来の復元(Restore)や移行に備えたベースを作れる。
システムバックアップ手順(Pandora)
Pandora(Jetson Orin Nano / Orin NX)では、NVMe SSD 全体のイメージを作成しておくことで、障害時にシステム状態を迅速に復元できます。
事前準備
必要要件
1. Pandora 本体:Jetson Orin Nano(4GB/8GB)または Orin NX(8GB/16GB)
2. 外部ストレージ:USB ドライブまたは第 2 NVMe SSD(容量は 使用量以上、推奨 128GB 以上)
3.空き容量:バックアップ先に十分な空き容量があること
非圧縮イメージは概ね ソース SSD 容量相当になる点に注意
手順
Step 1:外部ストレージ接続とマウント確認
1. USB ストレージまたは第 2 NVMe SSD を Pandora に接続します。
2. 端末でディスク・マウント状況を確認します。
lsblk -d -o NAME,SIZE,TRAN,VENDOR,MODEL,SERIAL,MOUNTPOINT
例(NVMe×2 + USB):
NAME SIZE TRAN VENDOR MODEL SERIAL MOUNTPOINT
nvme0n1 128G nvme SAMSUNG MZVLB128HBHQ-00000 S4XXXXXXXXXXXX /
nvme1n1 256G nvme WDC WDS250G3X0C-00SJG0 21XXXXXXXXXXXX
sda 128G usb SanDisk Ultra 4C53XXXXXXXXXXXX /mnt/usb
Step 1-1:USB が自動マウントされない場合(フォーマット → 抜き差し)
本手順は、USB が ファイルシステムの異常/破損/非対応 によりシステムが認識できず、自動マウントされない場合に適用します。代表的な症状は、挿入してもマウントポイントが作成されない、lsblk -f の FSTYPE が空または unknown と表示される、またはログにファイルシステムエラーが出る、などです。この場合、フォーマット(データは全消去)により USB を使用可能な状態へ復旧できます。
⚠️ 注意:以下の操作で USB 内のデータはすべて消去されます。 誤ってシステムディスクを指定しないよう、デバイス/パーティション(例:/dev/sda)を必ず確認してください。
1. USB のパーティション名を確認します (例:/dev/sda):
lsblk
2. ext4 でフォーマットします(Linux/Jetson では推奨)。
sudo mkfs.ext4 -F /dev/sda
3. USB を一度抜いて挿し直し。

Step 2:USB または第2 SSD へバックアップ(dd)
⚠️ 重要(Critical):dd を実行する前に、上書きしようとしているディスクから起動していないことを必ず確認してください。稼働中のシステムディスクへ書き込むと、OS が破損したりフリーズする可能性があります。
1. 現在の rootfs がどのディスクか確認(安全チェック)
findmnt -no SOURCE /
- 出力が `/dev/nvme0n1p...` を含む場合:現在 `nvme0n1` で起動中
→ **/dev/nvme0n1 への復元は禁止**(USB 起動や第2 SSD 起動などの救援環境で実施)
- 出力が `/dev/nvme1n1p...` や `/dev/sda...` の場合:別デバイス起動の可能性が高い
→ `/dev/nvme0n1` へ復元可能(それでも `lsblk` で最終確認)
2. 重要:`dd` 実行前に **出力先(of=)** を必ず再確認してください。誤ると別ディスクを上書きします。
3. USB へバックアップ(イメージファイル作成)
例:/mnt/usb/pandora_backup.img
sudo dd if=/dev/nvme0n1 of=/mnt/usb/pandora_backup.img bs=64K status=progress conv=fsync
4. 第2 SSD へバックアップ(ディスク to ディスクのクローン)
例:宛先が /dev/nvme1n1 の場合
sudo dd if=/dev/nvme0n1 of=/dev/nvme1n1 bs=64K status=progress conv=fsyn
補足
Notes:
if=/dev/nvme0n1:元(Pandora 本体 SSD)of=:先(USB の場合はファイル、SSD の場合はデバイス)bs=64K:転送効率向上status=progress:進捗表示conv=fsync:終了前に書き込みをフラッシュして確実に保存
所要時間目安:10~60 分(容量・ハード性能に依存)
Step 4:バックアップファイルの確認
ls -lh /mnt/usb/pandora_backup.img.gz
Step 5:復元(Restore)= Step 2 の逆方向 dd
⚠️ 重要(Critical):dd で復元(リストア)する前に、上書きしようとしているディスクから起動していないことを必ず確認してください。稼働中のシステムディスクへ書き込むと、OS が破損したりフリーズする可能性があります。
1. 現在の root ファイルシステムがどのデバイスにマウントされているか確認(安全チェック)
findmnt -no SOURCE /
2. USB の .img から NVMe へ復元 (example: /dev/nvme0n1)
sudo dd if=/mnt/usb/pandora_backup.img of=/dev/nvme0n1 bs=64K status=progress conv=fsync
3. .img.gz を解凍しながら復元(推奨)
sudo gzip -dc /mnt/usb/pandora_backup.img.gz | sudo dd of=/dev/nvme0n1 bs=64K status=progress conv=fsync
⚠️ 注意事項
- バックアップ中の安定性:バックアップ中は元ディスクへの書き込みを極力避けてください(重いサービス停止、必要に応じて GUI 無効化など)。
- デバイス名の確認:
lsblkでif=とof=を必ず確認し、元ディスク(/dev/nvme0n1)へ誤って書かないこと。 - 容量:バックアップ先の空き容量を事前確認(非圧縮イメージ ≒ SSD 容量)。
- 復元:復元は
ddによりイメージを書き戻す(Step 2 の逆)ことで実施します。
参考リンク